筋トレの「10回3セット」ってどういう意味?
筋トレのメニューを考える時、必ず出てくるのが”10回3セット”という言葉。
これってどういう意味なんでしょうか?
意味というと、言葉の通り「1セット10回を3セット行う」という意味ですが、
なぜそうするのか?はわかりませんよね。
なぜ3セットに分割するのか?
筋トレで複数セットに分割する最大の理由は、「人間の体にはリミッターがついているから」です。
言うまでもなく人間も動物です。
現代のように文明に守られて生きている時代は、人類の歴史から見ればごく最近のことであり、
ホモ・サピエンスの誕生から大半の時間は、他の野生動物と同じように生活していたのです。
そういった弱肉強食の世界で生き抜くための本能として、動物の身体には「リミッター」がついているのです。
このリミッターの機能とは「力を使い果たさないようにする」機能です。
野生で生きていれば、当然力を使わなければいけない場面もありますよね。
獲物を捕る時、ねぐらを作る時などなど、、
しかし、同時に不測の事態に対しても、常に警戒しておかなければいけません。
獲物を捕るのに力を使い果たしてしまった場合、もしそこで天敵が現れたら…?
自然の中で力を使い果たしてしまうことは、即”死”に直結します。
だから、動物の身体はリミッターを働かせて、力を使い果たしてしまわないようにセーブしているわけですね。
筋トレにもリミッターが働く
このリミッターは、当然筋トレの時にも作用します。
「腕立て伏せ50回で、本当にもう限界。もう1cmも上げられない。。」
こういう状態になっても、実は本当の限界ではないのです。
本当の限界になる前に、身体がリミッターを働かせて力が出なくしているのです。
筋肉を鍛えるためには、筋肉を限界まで追い込むことが重要ですが、そのためにはこのリミッターが障害になります。
だから1セットで限界まで追い込むことは出来ません。
だから2セット目、3セット目で追い込んでいくのです。
1セット目から少しの休憩を挟んで2セット目、3セット目と繰り返すことで、筋肉の”本当の限界”に限りなく近づくことが出来ます。
なぜ1セット10回なのか?
「3セットに分割する理由はわかった。では何故1セット10回なの?」
こういう疑問も当然湧いてきますよね。
これは、「経験的にそれが一番効率が良いから」としか言えません。
これまで世界中で行われてきた数万件以上の実証実験の結果、
最も筋肥大に効率が良いのが”10回3セット”であったと言うだけのことです。
もちろんこれには個人差があるので、12回2セットの方がいい人もいるし、8回4セットの方がいい人もいるかも知れません。
こればっかりは、自分でやってみて、自分に一番あったやり方を自分で見つけるしか無いのです。
参考までに、目的に応じた回数とセットの目安です。
目的 | 1セットの回数 | セット数 |
---|---|---|
筋力アップ | 1〜5回 | 3〜5セット |
筋肥大 | 8〜12回 | 2〜4セット |
筋持久力アップ | 13回以上 | 2〜3セット |
”筋力”と”筋肥大”の違い
筋力とは筋肉が生み出すパワーのことであり、筋肥大とは筋肉のサイズを大きくすることです。
筋肉が生み出す力は筋繊維の断面積に比例するため、「筋肥大すれば筋力も強くなる」のは間違いないのですが、
実は筋肉が生み出す力の強さは、”筋肉の大きさ”だけでなく”神経の強さ”もかなり影響してきます。
「一瞬で最大パワーを出す瞬発力」を鍛えるためには、筋肥大だけでなく筋力アップのトレーニングも必要です。
筋力アップのトレーニングは、筋肥大メニューに比べて筋肉を大きくする効率は悪いですが、筋肉の最大出力を出すための”神経のトレーニング”と言えます。
「1セット10回できる重量」が増えても、「一回だけ持ち上げられる最大重量」が同じように増えるとは限りません。
重量挙げの選手などは、筋肥大メニューと同時に筋力アップメニューも行うことで、「一回だけ持ち上げられる最大重量」を増やすための練習も行っているのです。
「1セット10回」が限界の負荷を設定する
「筋トレを1セットで30回するのと、10回を3セットでするのはどっちが効率いいですか?」
たまにこういう質問が見られますが、この記事の内容を理解されている方なら、こんな質問は成立しないことがわかると思います。
”10回3セット法”が効率よく機能するには、「1セット10回」が限界の負荷を設定することが大前提です。
筋トレは負荷をかけることが重要です。
「10回しかできない負荷」を設定してください。
それならば「1セットで30回する」という選択肢はありえないはずです。
もし筋持久力アップを狙っているのなら、そういうやり方もアリですが、筋肥大には効率が非常に悪くなります。
「10回しかできない負荷」で3セットやるから意味があるのであって、30回できるのに10回でやめたらトレーニングになりません。
なお、「1セット目は10回できるけど、2セット目は8回、3セット目は6回になってしまう。」という場合には、負荷が強すぎることが考えられます。
こういう場合は、1セット目から負荷を下げる、セット間のインターバルを長めにとるなどの対処をしましょう。
10回3セットなら、合計30回なので、最低でも合計26回位はできる負荷にしないと、逆に効率が悪くなってしまいます。
筋トレの目的と意味をしっかり考えて、自分にあった効率のよいメニューを作っていきましょう!