筋肉を動かすエネルギー供給回路は3種類!
人間が自由に動いて活動できるのは、すべて筋肉のおかげです。
筋肉が収縮するとこで関節が動き、私たちは歩いたり走ったりすることが出来るのです。
では、筋肉を動かすエネルギー源とは何でしょうか?
「無酸素運動」と「有酸素運動」という言葉は聞いたことがあるでしょうが、筋肉は動かす強度によってエネルギーの供給方法が変わるのです。
今回は、強度に応じた筋肉のエネルギーの供給回路についてご紹介します!
筋肉のエネルギー”ATP”
人間のあらゆる動き、つまり筋肉の収縮に使われるエネルギー源は、筋肉内に貯蔵されてるATP(アデノシン三リン酸)という物質です。
ATPは筋肉内で消費されるとADP(アデノシン二リン酸)という物質に分解されます。
筋肉内に貯蔵できるATPはごくわずかしか無いため、活動を続けるためには即座にADPを分解してATPに再合成する必要があります。
筋肉にATPを供給する経路には「CP系」、「解糖系」、「有酸素系」の3種類があります。
このうち「CP系」,「解糖系」は無酸素運動
「有酸素系」は有酸素運動に分類されます。
CP系
CP系は、筋肉の内部に貯蔵されているクレアチンリン酸(CP)という物質を分解してADPをATPに再合成する回路です。
CP系は3つの中でも最も大きなエネルギーを瞬時に供給できる回路ですが、筋肉内のクレアチンリン酸が少ないため、フルに動員すると10秒程度で枯渇します。
食べ物から吸収した栄養を元に、肝臓と腎臓でクレアチンが合成され、血流に乗って筋肉に運ばれた後、筋肉の中でリン酸と結びついてクレアチンリン酸が合成されます。
クレアチンリン酸の再補充にはしばらく時間がかかるため、一度の運動では10秒程度しか持たないのです。
解糖系
解糖系は、筋肉の中にある糖質(グリコーゲン)が多段階の分解でピルビン酸に変化して、その過程のエネルギーでADPをATPに再合成する回路です。
ピルビン酸がエネルギーとして利用される過程では大量の乳酸が生成され、血液中に放出されます。
解糖系はエネルギーの供給速度、時間ともに他の2つの中間に位置し、フルに動員すると30秒ほどで枯渇します。
糖質は筋肉内に貯蔵されたグリコーゲンだけでなく、血液中のグルコースも利用して行われます。
血液中のグルコースが減少すると、肝臓に貯蔵されたグリコーゲンが分解されて血液中に補充されます。
有酸素系
有酸素系は、解糖系で生成されたピルビン酸、もしくは血液中の遊離脂肪酸が筋肉細胞内のミトコンドリアの中にあるTCA回路に取り込まれてATPが合成される回路です。
有酸素系はエネルギーの供給速度は遅いものの、酸素と糖質、脂質が十分にあれば長時間エネルギーを供給し続けることが出来ます。
血液中の遊離脂肪酸が有酸素系で消費されると、体脂肪が分解されて遊離脂肪酸が血液中に補充されます。
運動強度に応じた筋肉のエネルギー源
CP系 |
CP系+解糖系 |
解糖+有酸素系 |
有酸素系 |
---|---|---|---|
超高強度 |
高強度 |
中強度 |
低強度 |
10秒 |
10〜90秒 |
90秒〜3分 |
3分以上 |
クレアチンリン酸(CP) |
CP+糖質 |
糖質+脂質 |
脂質 |
必要に応じた栄養補給を!
筋肉のエネルギー供給回路は、運動強度に応じて3種類あることがわかりました。
自分が行う運動に応じで、必要な栄養素も違ってくることがわかると思います。
クレアチンリン酸は肉類、魚類などのタンパク質に多く含まれており、糖質は炭水化物、脂質は脂肪から摂ることが出来ます。
高強度の筋トレをするならタンパク質、
中強度のスポーツなら炭水化物、
脂肪燃焼を目的にした運動ならば体脂肪を活用できますが、それでも最低限の糖質は必要です。
筋肉のエネルギー源を理解し、十分な栄養補給を心がけましょう!