筋肉は脂肪に変わらないし脂肪は筋肉に変わらない

筋肉,脂肪

「筋肉を付けすぎると、運動を止めた時に脂肪に変わって太る」

 

「一旦脂肪をためてから、それを筋肉に変えるのが効率的」

 

筋トレとダイエットを巡っては、ネット上でこのよう言説を目にすることがあります。

 

しかし、これは全くの嘘です。

 

筋肉が脂肪に変わるなんてありえないし、脂肪が筋肉に変わることもありません。
一体何故こんなガセネタが広まっているのでしょうか?

 

今回は、筋肉と脂肪の違いについてご紹介します!

 

筋肉細胞と脂肪細胞の違い

筋繊維からなる筋肉細胞

筋肉,脂肪

筋肉を拡大してみると、筋繊維と呼ばれる細長い繊維のような細胞の束になっていることがわかります。

 

この筋繊維は、さらに筋原線維という細長い繊維の束になっており、この筋原線維の一本一本が収縮することによって、筋肉は力を発揮して関節を動かします。
筋肉に強い負荷がかかると、この筋原繊維は引きちぎられて損傷し、その損傷をシグナルとして、筋繊維の周りに控えている筋サテライト細胞が増殖を始め、傷ついた部分を修復して補強することで、筋肉は太くなっていくのです。

 

損傷を修復を繰り返して筋繊維は太くなっていきますが、一本の筋繊維が太くなるにも限界があります。

 

既存の筋繊維の肥大が限界に達すると、筋サテライト細胞同士が集まって筋幹細胞を形成し、この筋幹細胞が新たな筋原繊維として増えていきます。
こうして筋肉はトレーニングを重ねることでドンドン太くなっていきますが、逆に負荷をかけないでいるとドンドン萎縮していきます。

 

筋肉は使わないでいると次第に衰えていき、これを「廃用性筋萎縮」と言います。
健康な人であっても、丸1日ごろ寝をしてほとんど動かないでいると、1日0.1%ずつ筋肉が萎縮すると言われています。

 

脂肪滴を有する脂肪細胞

筋肉,脂肪

脂肪細胞とは、身体を形作っている細胞のうち、細胞内に巨大な脂肪滴を有する細胞のことです。
脂肪滴とは、細胞の中で脂質やタンパク質などを含む球形の液滴のことで、生体のエネルギー源となる脂質を蓄積するという役割があります。

 

脂肪細胞では、細胞の大部分が脂肪滴で占められており、細胞核や細胞小器官が辺縁に追いやられています。

 

食事で摂った糖質や脂質のうち、活動によって消費せずに余ったものが脂肪細胞に取り込まれ、脂肪滴が形成されて脂肪細胞自体が肥大化していきます。

 

しかし、ひとつの脂肪細胞が肥大化するのにも限界があるため、この限界に達すると周囲に潜んでいた前駆脂肪細胞という細胞が刺激を受け、増殖を始めます。
こうして新たな成熟脂肪細胞が形成され、さらに体脂肪を溜め込むことが出来るのです。

 

脂肪細胞の役割はエネルギーを備蓄することであり、常に血液中に遊離脂肪酸というエネルギー源を供給しています。
身体がエネルギー源として遊離脂肪酸を消費し、血液中の濃度が下がると、脂肪細胞から新たに遊離脂肪酸が溶け出して血液中に供給されます。

 

このため、食事で摂取するカロリーが足りていないと、次々に体脂肪が分解されて行くのです。

 

脂肪細胞と筋肉細胞は全く別のもの

以上見てきたように、脂肪細胞と筋肉細胞は、その組成からして全く別の細胞です。

 

両者の違いは化学的な組成からも明らかで、体脂肪は化学的には炭素、水素、酸素の3つの元素からなっていますが、筋肉をつくるタンパク質は炭素、水素、酸素に加えて窒素も必要になります。

 

化学的な組成から言っても、両者がお互いにトランスフォームすることはあり得ないのです。

 

なぜ誤解されるの?

筋肉,脂肪

細胞の成り立ちから言って全く別のものであるにもかかわらず、筋肉と体脂肪が相互に変化するもののように誤解されるのは、成人して以降、増えたり減ったりするのが筋肉と体脂肪だけだからでしょう。

 

成人後に太ったり痩せたりしても、心臓や内臓、骨格には変化はありません。

 

痩せていた人が太るのは脂肪が増えたからであり、太った人が痩せるのは筋肉と脂肪が減ったからです。

 

筋肉が減って脂肪が増える
脂肪が減って筋肉が増える

 

このように、両者が入れ替わることは頻繁にあるため、「筋肉が脂肪に変わった」というように感じるかもしれませんが、実際には筋肉の肥大・萎縮と体脂肪の増減は全く別の現象なのです。

 


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