プロテインは高齢者も飲むべきなのか?その効果と過剰摂取・副作用について

プロテイン,高齢者

 

「プロテイン」

 

と聞くと、なにやら怪しげな筋肉増強剤のようなイメージを持っている方は、多くいらっしゃいます。

 

老化防止のために運動を始めた。
ジムに通っていると、周りのムキムキマン達がみんなシェイカーをシャカシャカしてプロテインを飲んでいる。

 

こんな光景を見ていると、プロテインとはマッチョ御用達のものであって、自分には無縁。

 

こんなイメージを抱いてしまうのも無理はありませんが、それは正しい認識ではありません。

 

そもそも英単語の「Protein」とは「タンパク質」という意味。

 

人間にとって不可欠な栄養素であるタンパク質を、効率よく補給するためのものでしか無いのです。

 

ところで、日本は依然として高齢化社会への道を突き進んでおり、街にはこれからもさらに高齢者が増えることが予想されます。

 

そうなると問題になってくるのが、介護の負担。

 

日本の平均寿命は男女ともに世界トップクラスですが、実は「平均寿命と健康寿命の乖離」が大きな問題となっています。

 

健康寿命とは「日常的に介護が必要なく、自立した生活が送れる寿命」のこと。

 

現在、日本人の健康寿命は、平均寿命より男性で9年、女性で12年も差があります。

 

つまり「日常的に介護が必要で、自立した生活を送れない」期間が9年〜12年もあるのです!!
これは自分の問題だけではなく、介護負担、保険料負担となって社会を圧迫します。

 

齢をとってからも健康で快活な人生を送るために、まだ動けるうちから健康維持のための運動を始める人が増えています。

 

そういった方にとって「プロテイン」というのは、決して怪しげな筋肉増強剤ではなく、筋肉や健康を維持するために極めて有効なサプリメントです。

 

今回は、高齢者こそプロテインを活用すべき理由と、注意点などについてご紹介します。

 

プロテイン,高齢者

高齢者の衰弱は”運動不足”よりも”栄養不足”が原因

齢をとると、若い頃のように自由に動けなくなります。

 

・重いものが持てない
・階段を登るのが辛い
・電車で立っていることができない
・横断歩道を渡りきれない

 

こういった”衰弱”の原因は筋肉の減少にあります。

 

筋肉が減少するのは運動不足だから。
衰弱を防ぐためには運動をしよう。

 

こういった認識が、今まで一般的でした。
これはこれで間違いではないのですが、実は最近の研究では、特に日本の高齢者の衰弱の原因は、運動不足よりもむしろ”栄養不足”にあるとの考え方が強まっています。

 

最近でも、以下のような記事が立て続けにヤフーニュースに掲載されました。

 

低栄養が招く衰弱、筋肉減少
2018年6月3日 時事通信

 

高齢者は日常生活の活動量減少による食欲低下などから、食事を十分取らず低栄養状態に陥りやすい。
その結果、全身が弱って外出することが難しくなる「フレイル」や、筋肉量が減少する「サルコペニア」になるケースもある。

 

肉は食べたいだけ食べなさい! 75歳で変わる食事と病気リスク
2018年6月5日 週刊朝日

 

高齢者がどんな生活をしたらいいか、ということについて顕著に変化が出るのは、食事だろう。
若いころは、肥満、メタボリックシンドロームは健康を損なうリスクとして摂生を求められていたのに、高齢者になると逆に「低栄養による体重減少に注意しましょう」と大きく転換する。

 

 高齢者の低栄養はサルコペニアにつながり、筋力低下・身体機能低下を誘導し、活動度や消費エネルギーの減少、食欲低下をもたらす。それがさらに栄養不良状態を促進させるという悪循環に陥る。

 

 東京都健康長寿医療センター名誉院長で骨粗鬆症財団理事長の折茂肇医師は「低栄養にならないように、タンパク質、とくに肉を食べるのがいい」と話す。

 

運動は「キョウイク」「キョウヨウ」でも十分

上の記事に登場する潟^ニタヘルスリンクの管理栄養士・健康運動指導士の龍口知子さんによると高齢者の健康維持のキーワードは「キョウイク」「キョウヨウ」

 

もちろん「教育」と「教養」ではありません。

 

「キョウイク」とは「今日行く所がある」
「キョウヨウ」とは「今日用事がある」

 

龍口さん「外出の機会があったり、他人とのコミュニケーションが保たれていたりすることが大事だ。自治体などが開催する健康維持や介護予防のための教室に参加することはとてもよいことだ」と語るように、何かしらの用事を作って外出する、人と触れ合う、こういったことが重要だと言うことです。

 

プロテイン,高齢者

高齢者は食事量が減ることで筋肉が減少する

東京都健康長寿医療センター名誉院長で骨粗鬆症財団理事長の折茂肇医師は「低栄養にならないように、タンパク質、とくに肉を食べるのがいい」と語っています。

 

 一昔前までは、「高齢者は食が細くなるので食べられるだけで十分である。肉はあまり食べないほうがいい」と言われていましたが、サルコペニアなどの筋肉の研究の進歩により、高齢者は高タンパクの食事をとらなければ、筋肉が減る一方であるということがわかってきたのです。

 

「肉を食べられる高齢者は、健康で元気な人ともいえます。食べすぎはよくありませんが、食べたいと思うなら食べたい量だけ食べればいいのです。しかし、75歳を過ぎて急に、肉を食べようとしても食べられるものではありません。75歳になる前に、そういった食習慣をつけておくことが重要です。」(折茂肇医師)

 

高齢者が摂取すべきタンパク質量とは?

予防するために必要なタンパク質摂取量については、数多くの研究が存在します。
ここでは、日本の健康管理の総本山である厚生労働省の報告を引用します。

 

厚生労働省が策定した「日本人の食事摂取基準2015年版」によると、高齢者のサルコペニア予防に必要な1日のタンパク質摂取量は…

 

体重(kg)×1.06g/日

 

とされています。
例えば、体重60kgの人の場合、
60×1.06=63,6gを、1日に摂取すべきと言うことです。

 

この数字の根拠については、上記の資料の中で長々と語られているので、興味のある方はご一読していただければと思いますが、筋肉減少が始まっている高齢者の場合、タンパク質同化抵抗性が高くなっているため、若年者よりも必要なタンパク質量が多くなっています。

 

タンパク質同化抵抗性とは、タンパク質が筋肉に同化(合成)していくことに対する抵抗性。
つまり、高齢者は若年者に比べて、タンパク質を沢山食べないと筋肉にならないという事です。

 

また、他の指標として60歳以上の方が「これから筋肉を増やしたい」と考える場合、タンパク質は、

 

75g/日

 

という指標もあります。
これは高齢者のタンパク質同化抵抗性により、1食である程度の量を食べないと筋肉が反応しないという研究結果から、1食のタンパク質量を25g以上と設定し、それを3食食べた場合のタンパク質量になります。

 

25gのタンパク質というのは、例えば…

 

全卵:4個
木綿豆腐:1丁
牛肉:130g
牛乳:800ml

 

くらいの量になります。
もちろん単品ではなく、他の栄養素とのバランスも考慮して、1食あたりのタンパク質量を増やしていきましょう。

 

これほどの量を食べるのが難しいという場合、タンパク質を補給するためのプロテインが有効になります。

 

プロテイン,高齢者

プロテインのメリットと副作用は?過剰摂取のポイント

プロテインとは、牛乳や大豆に含まれるタンパク質を抽出してパウダー状に加工したサプリメントです。

 

プロテインでタンパク質を摂るメリットとしては、以下のようなものがあります。

 

腹にたまらない

高齢者になるほど日々の食事からタンパク質を摂取することが重要になりますが、同時に高齢になるほど「量を食べられない」というジレンマが出てきます。
プロテインの場合、1杯で20gほどのタンパク質を摂取でき、これは牛肉100g程度と同じくらいのタンパク質量。

 

牛肉100gを食べたらお腹いっぱいになる方も多いですが、プロテイン1杯で「もう食べられない」とはまずなりません。
このため、胃腸に負担をかけずにタンパク質を摂取できるのが、プロテインの大きなメリットです。

 

タンパク質量で比べると安い

プロテインは普通の食事とは別のサプリとして購入するため、値段が高いと感じてしまうかもしれません。
しかし、タンパク質を摂取することが出来る食べ物としては、プロテインは最も「安い」食材のひとつです。

 

コンビニでよく売っているサラダチキンは、ひとつあたり21gほどのタンパク質で約300円。

 

プロテインも1杯で20g程度のタンパク質を摂取できますが、その値段は?
1kgで5,000円ほどのプロテインで、一杯30gと計算すると、1杯166円!

 

実は、プロテインはタンパク質を摂るなら最もコストパフォーマンスの高い食材なのです。

 

すぐに気軽に飲める

運動直後の「ゴールデンタイム」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
運動をして筋肉を酷使すると、筋繊維が損傷し、身体からエネルギーが枯渇するため、身体は一時的にエネルギーを欲する状態になります。
この時間は、栄養の吸収率が非常に高まっている時間帯であり、運動直後の1時間以内にタンパク質や糖質を摂取することが、筋肉の成長のために有効とされています。

 

しかし、運動をしてすぐにタンパク質を食べるというのは、外食とプロテイン以外ではなかなか難しいもの。
プロテインは粉末をシェイカーに入れて持ち歩くことができ、そこに水をいれてシャカシャカ混ぜるだけですぐに飲めますから、特にジム通いやジョギングをされている方にとっては非常に重宝されます。

 

プロテインの過剰摂取による副作用は?

気軽にタンパク質を摂取することが出来るプロテインですが、タンパク質は過剰摂取すると身体に負担をかける場合もあります。

 

タンパク質の過剰摂取によって起こるリスクを見ていきましょう。

 

内臓への負担

タンパク質は、体内で合成と分解を繰り返します。その過程において、食事から摂ったタンパク質のうち余った(過剰な)ものは分解されて窒素となります。

 

窒素を体外に排泄するためには、肝臓・腎臓の働きが必要です。体内の分解過程で必要なくなった窒素はアンモニアに変わります。アンモニアは私たちの体にとって有害な物質であるため、肝臓で無害な尿素に変換されたのちに腎臓で尿として排出されます。

 

このときにタンパク質を過剰に摂取してしまうと、その分多くの窒素を尿に変換しなければならなくなります。そのため肝臓や腎臓にかかる負担が普段よりも大きくなり、内臓疲労を引き起こす可能性があります。

 

腸内環境の悪化

タンパク質は、胃で消化されたあとに十二指腸でペプチドに分解され、小腸でアミノ酸に分解されて吸収されます。
しかし、小腸で分解・吸収仕切れない量のタンパク質を一気に大量摂取すると、タンパク質が分解されないまま大腸に到達し、大腸に住まう悪玉菌の餌となります。

 

本来、一番少ないはずの悪玉菌が増えてしまうと腸の運動が弱まり、食中毒菌や病原菌による感染の危険性、発がん性を持つ腐敗産物が多く作られてしまう可能性があります。
「プロテインを飲んで便秘になった」「プロテインを飲んで便が物凄く臭くなった」などの症状が出たら、タンパク質の取りすぎである可能性が高いと言えます。

 

尿路結石

主に肉などの動物性タンパク質は、摂取すると体のなかでシュウ酸や尿酸などの物質が体内に増加します。
このうちのシュウ酸にはカルシウムと結合しやすい性質を持ち、腸の中でカルシウムと結びつくことで便として体の外へ排泄されます。
このとき、腸で吸収しきれないシュウ酸は尿として排泄されます。
シュウ酸が尿に含まれるカルシウムと結合してしまうと、石のようなかたまりとなって排泄されにくくなり尿管を詰まる原因となるのです。

 

タンパク質は過剰摂取に要注意。プロテインは1日1杯で

「高齢者にはタンパク質が重要。肉は食べたいだけ食べて。」

 

これはあくまでもお肉や魚という、普通の食事での話。

 

高齢者になれば誰でも食事量は減るので「好きなだけ食べて」と言っても食べ過ぎになるまでは食べられないだろうという前提での話です。

 

しかし、プロテインの場合はドリンクでグイグイ飲めてしまうので、一日に3、4杯も飲んでいたらタンパク質の過剰摂取になる場合があります。

 

日頃から運動しているアスリートであっても、プロテインは1日1杯程度で十分。

 

一日に摂取すべきタンパク質量:体重(kg)×1.06g/日

 

を意識し、普段の食事で取り切れない分をプロテインで補う、という考え方で飲むのが良いでしょう。


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