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「使えない筋肉」ってなんだよ

筋トレ

「筋トレでつけた筋肉は、実務で役に立たない使えない筋肉」

 

「ボディビルダーは見せかけの筋肉だから、見た目ほど力は強くない」

 

こんな言い分、聞いたことありませんか?

 

筋トレをしていると、必ず漏れ聞こえてくる謎の風潮。
これって一体なんなんでしょうか?

 

この記事では、日本に蔓延る「使えない筋肉」という誤解について解説していきます。

 

筋トレマンはすぐに疲れる?

「筋トレが趣味、というマッチョくんに荷物運び手伝ってもらったら、すぐにバテてやんの。やっぱり使えない筋肉なんだなぁ」

 

こんな事例は数多くあります。
確かに、日頃ジムに通って自慢の筋肉を作り上げているマッチョメンが、いきなり力仕事を任されて期待に応えられなかったという事は実際にあるようです。

 

これは何が原因なんでしょうか?
筋トレでつけた筋肉は使えない筋肉だからでしょうか?

 

どんな動作にも”力”と同時に”技術”が必要

スポーツに限らず、あらゆる動作では「筋力」と同じくらい「技術」が大事です。
この二つが上手くかみ合っていなければ高いパフォーマンスは発揮できないのは当然のこと。

 

筋肉は”力を生み出す器官”であって、それ以上でも以下でもありません。

 

筋肉を鍛えれば荷物を持つのが上手くわけではありません。
運送屋さんや倉庫番をはじめ、日常的に荷物運びを仕事としている方々は、筋力以上に「疲れない持ち方」が上手なんですね。
冷蔵庫でも、洗濯機でも、ダンボールでも、それぞれに適した「疲れない持ち方」に慣れているから、見た目以上にバリバリと働くことが出来る。

 

マッチョメンが荷物運びに苦労したのは「荷物を持ち慣れていない」からです。
筋肉だけがあっても、その筋肉の力を正しく発揮させる事に慣れていないと、思うように力を出せません。

 

先輩がスイスイ荷物を運べるのは「荷物を持ち慣れている」からです。

 

バーベルを持ち上げる筋肉と荷物を持ち運ぶ筋肉は同じものです。
ただ、体全体としてどちらの動作に慣れているかが問題なのです。

 

室伏と同じ筋力があれば、誰もがハンマーを80m投げられるわけではありません。
脚の筋トレだけをしていもサッカーはうまくなりませんが、シュートの練習を繰り返せば強いシュートが打てるようになります。

 

だから「バーベルで鍛えた筋肉は約に立たない」のではありません。
バーベルは筋肉を鍛えるのに最も効果的な道具で、その道具で鍛えた筋肉を実務に活かすには「慣れ」が必要であるというだけです。

 

これは「筋力を使いこなす技術が無いのが悪い」のですが、
どういうわけか「筋肉をつけすぎたのが悪い」とすり替わってしまうことがあります。

これが、日本における「使えない筋肉」論の大元だと思います。

 

どんなマッチョマン、アスリートでも、初めて持つ形の荷物を持たされたら一様に苦戦するでしょう。
しかし、しばらく働いてその荷物の持ち方に慣れたら、確実に一般人よりはバリバリ運べるようになります。
ベースの筋力が違うのだから、「技術」を身につければ「力」を活かすことが出来るのです。

 

ボディビルダーの筋肉は”使えない筋肉”なのか?

「ボディビルダーは見せかけの使えない筋肉だから、見た目ほど力は強くない」

 

こういう言説も非常によく聞かれます。

 

もう何十年も前から繰り返されている議論ですが、
一体何に対して「使えない」と言っているのでしょうか?

 

たしかにボディビルダーの大きな筋肉はサッカーではあまり役に立ちません。
格闘技でも、ボクシングならボクサーの方が強いし、レスリングならレスラーの方が強いでしょう。
腕相撲でも、腕相撲のテクニックを習得しているアームレスラーの方が強いと思います。

 

ケンカをしても、ケンカ慣れしているヤンキーのほうが、もしかしたら勝ってしまうかも知れません。

 

しかし、これらの理論は大前提を忘れていますよね?

 

ボディビルダーはボディビルの大会に出るためにトレーニングしているんだから、
それ以外の用途など知ったこっちゃないのです。

 

室伏広治やウサイン・ボルトに「持久力が無いから使えない筋肉」なんて言うバカがいますか?
サッカー選手に「もっと肩鍛えないとスリーポイント打てないぞ」って言っても相手にされないでしょう?

 

なぜボディビルダーだけは、ありとあらゆるスポーツや肉体労働をやらされる前提で評価されるのでしょうか?

 

それぞれの競技にはその競技に合わせた身体能力の特異性があり、その特異性によって苦手な動きがあったとしても、それは筋肉そのものの問題ではないのです。

 

筋トレ

「使えない筋肉など無い。使えないのは人間の方だ」

これは、アメリカのとある著名なフィットネスコーチの言葉です。

 

筋肉を付けても、それを活かせなければ意味がない。
でもそれは、筋肉が悪いんじゃなくて、筋肉を活かす練習をしていないのが悪いんですね。

 

逆に言えば、筋肉を使いこなす練習をしっかりすれば、筋肉が生み出すパワーは何にでも役に立ちます。

 

標準体型の一般人と、鈴木雅(ボディビル日本チャンピオン)が、今日から運送屋に入社する。
最初は、鈴木選手も慣れない仕事に戸惑うかもしれません。

 

でも2ヶ月後、
「怪力運送屋」としてバリバリに活躍しているのは、確実に鈴木雅の方でしょう。
「新しい動きに慣れる」ことさえクリアしてしまえば、ベースの筋力が違いすぎるのだから当たり前です。

 

「使えない筋肉」はありません。
その筋肉をどこで使う方は自分と環境次第です。

 

しかし、どんな環境でもそれに慣れてしまえば、差がつくのはベースとなる筋力です。
その筋力を普段から来てておけば、どんな状況にも対応できる”頼もしい人”になれると思いませんか?