ダイエットのための有酸素運動!脂肪燃焼はいつから始まるの?
ダイエットといえば有酸素運動!
これはもう常識になってきていますが、ではどうして有酸素運動で脂肪が燃焼するのか?
体脂肪が減っていく原理は、非常に複雑です。
なぜなら、体脂肪が燃焼する回路はひとつでは無いからです。
ダイエットで体脂肪を減らしていく上で、体脂肪減少に役立つ知識を一つでも多く仕入れておくことは、美しいスタイルを作り上げるのに有用です。
ここでは特に、日頃運動不足を自覚されているような方が、有酸素運動をはじめて体脂肪減少がはじまるまでの身体の変化について解説していきます。
脂肪の燃焼には酸素が必要である
人間の身体には大小600ほどの筋肉が張り巡らされており、その筋肉が収縮することで私達は動いています。
この筋肉を動かすためのエネルギー源は以下の3つ
- クレアチン(アミノ酸)
- グルコース(糖質)
- 脂肪酸(脂質)
このうちクレアチンとグルコースは無酸素運動で消費され、脂肪酸は有酸素運動で消費されます。
無酸素運動とは、単に「息を止めて力を入れて行う運動」ではなく、そもそものエネルギー産生に酸素を必要としない運動のことです。
逆に有酸素運動は、その名の通り酸素を利用し、脂肪酸を燃焼させてエネルギーを産生します。
人間は常に呼吸をして酸素を取り込みながら生きているので、「生きること」そのものが有酸素運動であるとも言えます。
つまり脂肪を燃やすには酸素が不可欠であり、脂肪の燃焼を増やすには酸素の取り込みも増やす必要があります。
運動をして心拍数を上げれば酸素の取り込みが増えるため、脂肪の燃焼には有効ですが、心拍数が上がりすぎると逆に脂肪の燃焼効率は落ちてしまいます。
運動強度と心拍数には密接な関連があり、心拍数が上がるような強度の高い運動では、糖質が優先的なエネルギー源となるのです。
実際、多くの実験で心拍数と消費エネルギー源の変化は確認されており、最大心拍数の80%程度での運動は、脂肪酸の利用率は13%まで下がってしまいます。
心拍数が上がると脂肪の利用率は下がる
最大心拍数の25%での運動⇒脂肪の利用率80%
最大心拍数の65%での運動⇒脂肪の利用率35%
最大心拍数の80%での運動⇒脂肪の利用率13%
こうみると、最大心拍数の25%程度での運動が、脂肪を燃やすには最もの良いのでは?と思いますが、最大心拍数の25%というのはもはや運動ではなく、ただの日常生活です。
これではそもそもの消費カロリー自体が少ないため、ダイエットにはなりません。
総合的に考えると、脂肪燃焼のために最も効率的な運動は「最大心拍数の65%」であると言われています。
これは「なんとか会話が出来るくらいの心拍数」で、軽いジョギングや早歩き、ゆったりした平泳ぎなどが該当します。
運動を継続することによる身体の変化
最大心拍数の65%程度の運動が、ダイエットのための脂肪燃焼には最も効率的であると言われるのにはいくつか理由があります。
それは、このような運動によって身体が「脂肪を燃やして運動すること」に適応するためであり、その適応によって「痩せやすい体質」になっていくからです。
ダイエットのために運動を継続することで、身体に起こる変化を知っておきましょう。
筋肉中の脂肪IMTGが増える
食事で摂った脂肪が貯蔵される場所は、言うまでもなく体内の脂肪細胞です。
しかし、脂肪細胞だけでなく筋肉細胞にも脂肪は蓄えられています。
筋肉細胞内に蓄えられた脂肪は「IMTG(イントラマスキュラ・トリグリセリド)」と良い、「筋肉グリセリド」などとも呼ばれています。
運動によって脂肪が燃焼するというと、脂肪細胞から溶け出した脂肪酸が消費されているようなイメージがありますが、実は運動中の脂肪燃焼はIMTGの方が重要であることが、最近の研究でわかってきました。
最大心拍数の65%程度の運動では、エネルギー供給の50%ほどをIMTGが占めるそうです。
そして、このIMTGの貯蔵量は、有酸素運動を継続することで増えていくことがわかっています。
持久系アスリートのIMTG貯蔵量は、一般人の2倍にも相当するそうです。
そして、このIMTGは皮下脂肪などと違い、貯蔵量が増えても見た目・スタイルにはほとんど影響しないのです。
強いて言うなら、筋肉にハリがでてカッコよく見えることくらいでしょう。
食べた脂肪がどうせ貯蔵されるなら、皮下脂肪になるより筋肉中のIMTGになる方がスタイル的にも健康的にもはるかに有用です。
このため、継続的な運動でIMTGを貯めやすい体質になることは、ダイエットのために非常に有効なのです。
なぜ運動強度が高いと脂肪の利用率が下がるの?
ここで少し余談ですが、どうして運動強度が高いと脂肪の利用率が下がってしまうのでしょうか?
答えは単純で、脂肪というのは分解してエネルギーになるまでに時間がかかるので、高強度の運動でのエネルギー需要に追いつけないからです。
糖質由来のグルコースやクレアチンというのは、あらかじめ分解された状態で筋肉内に直接貯蔵されているので、必要とあればすぐに分解されて高出力のエネルギーを供給できます。
それ故持久力は低いのですが、脂肪のエネルギーが間に合わなくなった高強度の運動では積極的に利用されるのです。
筋肉内のIMTGではない脂肪は、身体中の脂肪細胞に中性脂肪として蓄えられており、それが徐々に血液中に溶け出して遊離脂肪酸となります。
遊離脂肪酸の血中濃度は一定に保たれていて、運動で消費されて濃度が下がると、新たに体脂肪が分解されて血液中に脂肪酸が供給されるという仕組みです。
この体脂肪の分解が、運動中には間に合わないのです。
ちなみに、運動をする前に血管内に遊離脂肪酸を注射して血中濃度を上げておくと、高強度の運動でも脂肪の利用率が下がらないことがわかっています。
このため、運動の前に脂肪の分解を促進するカフェインなどを摂取しておくと、遊離脂肪酸の血中濃度が高い状態で運動を始めることが出来、より効果的に体脂肪を減らすことができます。
脂肪を燃やしやすくなる体質への変化
脂肪の燃焼活動には、血液中の脂肪酸を細胞へ取り込むためのタンパク質の働きがさまざまあります。
また、細胞に取り込まれた脂肪酸はミトコンドリアで燃焼するわけですが、その際にも必要な酵素がたくさんあります。
これらの要素は運動不足によって機能が低下し、運動をはじめてもすぐに働き始めるわけではありません。
様々な研究によると、毎日有酸素運動をするようになってから、脂肪燃焼に最適な身体の機能が整うまでは2週間程度かかると言われています。
しかも、運動経験がなかった肥満体型の人の場合は、さらに長い時間が必要であるとのことです。
つまり、運動不足で太っている人が大量の脂肪を効率よく燃焼できるようになるためには1ヶ月くらいは見込んでおくべきでしょう。
運動をはじめて1ヶ月たってから、やっと脂肪を効率よく燃やせる準備が整うということ。
ダイエットのための運動は、何よりも継続が大事なんです。
脂肪燃焼に必要なカルニチンの効果とは
最近、ダイエットサプリで「カルニチン」というものをよく目にします。
コンビニでもカルニチンサプリが売られている程ですから、よほど売れているんでしょう。
このカルニチンの役割は、脂肪細胞をミトコンドリアに取り込ませるための運搬役のようなもの。
細胞内にはミトコンドリアという小器官があり、このミトコンドリアが酸素と脂肪を燃焼させてエネルギーを生み出しています。
このため、ミトコンドリアは「細胞の発電所」などと呼ばれているわけですが、血液中の脂肪酸はそのままの形ではミトコンドリアの中に入ることができません。
脂肪酸は、カルニチンと結合してはじめてミトコンドリアの中に入ることが出来るのです。
つまり、いくら運動してもカルニチンが不足している場合は脂肪は燃焼できません。
ただ、カルニチンは体内でも合成することが出来るので、障害でないかぎり不足することはまずありません。
不足することはありませんが、サプリでカルニチンの血中濃度を高めることで、通常時よりもより多くの脂肪酸を燃やすことが出来るのです。
つまり、カルニチンは脂肪の燃焼を増やしてくれるので、ダイエットサプリとして人気なんですね。
カルニチンは取り込まれづらい
カルニチンが脂肪燃焼に役立つなら、どんどん飲みたいところですが、残念ながらカルニチンはサプリで摂取しても筋肉内に取り込まれるのは非常に微量であると言われています。
カルニチンは身体に取り込まれづらい栄養素なんですが、幸い有酸素運動によってカルニチンの取り込みが増えることも確認されています。
最大心拍数の60%の運動では、CPT-1という酵素の働きが活性化しカルニチンの吸収率も上がることがわかっています。
逆に、最大心拍数の75%ほどの高強度では、カルニチン濃度は通常時の8割ほどに低下してしまうそうです。
つまり、最大心拍数の60%程度の運動は、カルニチンサプリの効果を高めるのにも極めて有効だと言うことですね。
ただし、それであってもカルニチンは一ヶ月間飲み続けても21%程度増えるだけで、その程度では脂肪の燃焼が劇的に増えることはありません。
カルニチンサプリを利用する場合は、あらかじめ3ヶ月程度は継続しなければいけないことを知っておきましょう。
ダイエットの運動は継続が何より大事
有酸素運動によってダイエットが進んでいく原理について紹介してきました。
これ以外にも、運動が身体にもたらすポジティブな影響は山ほどあります。
この記事で見てきたように、運動ははじめて直ぐに効果があらわれるのではなく、身体が徐々に運動に適応していくことで、痩せやすい体質へと変化していきます。
定期手な運動は脂肪の燃焼を大いに促進し、せっかく買ったサプリメントの効果も高めてくれます。
ダイエットのための運動は、何よりも”継続”が大事ということですね!!