プルアップorチンアップ!背中の発達に有効なのはどっち?
背中のトレーニングの代表格である”懸垂”
鉄棒にぶら下がって体を持ち上げるトレーニングですが、グリップの向きによって「順手」と「逆手」の2パターンがありますよね。
一般的には、順手のほうがキツいためトレーニング効果が高いとされています。
では逆手の懸垂は効率が悪いということでしょうか?
今回は、この懸垂の持ち手の違いによる効果の違いをご紹介します!
チンニングは和製英語?
日本では、懸垂のことを「チンニング」と呼ぶこともあります。
「チン(chin)」とは「アゴ」の事であり、アゴを鉄棒の上まで持ち上げるからチンニングというのでしょうが、これは和製英語なので英語圏では通じません。
英語圏では、順手の懸垂のことを「プルアップ(Pull-up)」
逆手の懸垂のことを「チンアップ(Chin-up)」と言います。
プルアップとチンアップ EMGによる比較
アメリカの著名なストレングスコーチであるBret Contreras氏のブログに、EMGを用いたプルアップとチンアップの比較が掲載されています。
http://bretcontreras.com/
EMG(筋電図)とは、筋肉中の電気信号を測定して、運動中の筋肉の動員率を調べる方法です。
この実験では、順手のプルアップ、逆手のチンアップ、それに「Perfect・Pullup」という吊り輪を使用した3種類の懸垂における、各筋肉の動員率が比較されています。
「Perfect・Pullup」
・グリップの違いによる各筋肉の動員率の違い
グラフ中の部位
EO |
ES |
PM |
LT |
ISP |
BB |
LD |
---|---|---|---|---|---|---|
外腹斜筋 |
脊柱起立筋 |
大胸筋 |
僧帽筋下部 |
棘下筋 |
上腕二頭筋 |
広背筋 |
どちらにしても懸垂は広背筋がメイン!
このグラフを見ると、上腕二頭筋の動員率に差はあるものの、どのやり方でも懸垂の主動筋は”広背筋”という事になります。
たまに見かける「チンアップは上腕二頭筋がメインだから広背筋には効きづらい」という説は、正確ではないようですね。
プルアップでもチンアップでも、広背筋はしっかり鍛えることが出来ます!
ただ、チンアップの方が上腕二頭筋の動員率が高いため、広背筋+上腕二頭筋の協力パワーを使うことが出来ます。
これにより、チンアップの方が回数をこなせるという訳ですね。
・広背筋を集中的に鍛えたい場合はプルアップ
・上腕二頭筋も合わせて鍛えたい場合はチンアップ
という風に使い分けるのが良いでしょう!
初心者はチンアップから?
プルアップの方が上腕二頭筋の関与が少ない分、広背筋に強い負荷をかけてトレーニングすることが出来ます。
広背筋をメインで鍛えたいならプルアップを優先すべきですが、トレーニングはある程度の回数をこなせないと効率が悪くなります。
もし順手で10回以下しか出来ない場合は、逆手で回数をこなした方がトレーニング効果は高くなります。
順手で数回だけしか出来ない場合、それを頑張って続けるよりは、逆手である程度の回数をこなす方が効率が良いのです。
プルアップで1セット10回以上出来る場合は順手で行いますが、それが出来ない場合は、まずはチンアップでしっかり回数をこなした方が、結果的にプルアップの回数も伸びるでしょう。
上級者はプルアップとチンアップを組み合わせろ!
懸垂の基本的なメニューの組み方ですが、懸垂はコンパウンド種目なので、基本的な筋肥大メニューが適用できます。
ただし、非常に負荷が高いため、セット間での回復が難しい種目でもあります。
1セット目:15回
2セット目:10回
3セット目:7回
このように、セットごとに回数が大きく下がるのが普通です。
このため懸垂のセットの組み方は、セットごとに回数を決めず、とにかく限界まで×3セットをインターバル1〜2分で行うのがオススメです。
1セット目で15回以上こなせるような上級者の場合、セットごとにプルアップとチンアップを交互に行うのが有効です。
背中には非常に沢山の筋肉が複雑に重なり合って走っており、これらを鍛えるためには様々な方向からの刺激を与えることが重要です。
上から引く、下から引く、正面から引くなど、背中のトレーニングには”バリエーション”が重要なのです。
同じ懸垂でもグリップによって筋肉の動員率が微妙に異なるため、これらを組み合わせることで、背中の筋肉をバランスよく発達させることが出来ます。
1セット目:プルアップ限界まで
2セット目:チンアップ限界まで
3セット目:プルアップ限界まで
4セット目:チンアップ限界まで
このように組み合わせることで、背中の筋肉を強くバランス良く鍛えることが出来ます!
他にも、セット数を決めずにとにかく合計30〜50回やるという手法もあります。
プルアップ・チンアップ共通のフォームのポイントについて詳しくはコチラの記事をご覧ください。
>>懸垂は背中トレーニングの王様!正しいフォームと効果
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第三の選択肢:ニュートラルグリップ
懸垂は鉄棒を使って行うことが多いので、グリップは「順手」か「逆手」のどちらかと考えてしまいがちですが、その他のバリエーションとして、手のひらが向き合うように持つ「ニュートラルグリップ」という手法もあります。
雲梯などのハシゴ状の鉄棒や、パワーラックの上に専用のハンドルがついている場合などは、もちろんニュートラルグリップも組み合わせるべきです。
ニュートラルグリップでは、広背筋と上腕二頭筋の動員バランスが良く、どちらも一緒に鍛えることが出来ます。
様々な懸垂のバリエーションを組み合わせて、逆三角形の強い背中を作りましょう!