オーバートレーニング症候群とは?筋トレの疲労にご用心
トレーニングで生じた生理的な疲労が、十分な回復をとられないために積み重なって起こるのがオーバートレーニング症候群です。
全身の慢性的な疲労感に襲われるオーバートレーニングに陥ってしまうと、トレーニングを続けられなくなるどころか、日常生活にも支障をきたします。
トレーニングの三本柱は「運動・栄養・休養」と言われるように、休むのもトレーニングのうち。
知らず知らずに陥ることの多いオーバートレーニングにならないために、キッチリとその仕組を知っておきましょう。
今回は、オーバートレーニング症候群についてご紹介します!
オーバートレーニングは疲労の積み重ね
オーバートレーニングと似た言葉に、「オーバーユース」や「オーバーワーク」などがあります。
言葉は似ていますが、これらはそれぞれ別の症状ですので注意しましょう。
オーバーユースとは
身体の一部を繰り返し酷使したことにより、長期間負荷が蓄積して怪我やスポーツ障害を起こすこと。
腰、膝、肩、肘などの関節の障害であることが多い。
オーバーワークとは
一時的に激しすぎる運動を行ったことで、疲労困憊してしまうこと。
全身の一時的な症状。
オーバートレーニングとは
高強度の運動による疲労が、長期的に積み重なって全身の不調をきたすこと。
慢性的な疲労感、倦怠感、食欲減退、睡眠障害、集中力の欠如などの症状が起こる。
さらに重症化した場合は、うつ病に類似した精神異常を示すこともある。
ストレスによる全身の異常
オーバートレーニング症候群の原因は、肉体的、精神的なストレスが長期的にわたって蓄積し、視床下部-下垂体系の機能不全により、脳下垂体から分泌されるホルモンの一部にアンバランスが生じるためと考えられています。
貧血や感染症などの疾病が見られないのに、安静時の脈拍が増加したり、血圧の上昇、競技パフォーマンスの明らかな低下などが見られる場合は、オーバートレーニング症候群の可能性があります。
オーバートレーニングの兆候
・筋肉痛や疲労感の長期化
・起床時、安静時の心拍数や血圧の変化
・体重の減少
・風邪を引きやすい
・意欲の低下・倦怠感
・食欲不振
・睡眠障害
オーバートレーニングの原因は神経の疲労蓄積
トレーニングをする人にとって、疲労の回復は運動と同じくらい重要。
「休むのもトレーニングのうち」という言葉は、もはや常識レベルになっていますよね。
しかし、その「疲労」について詳しく分析している人は、意外と少ないのが現状です。
トレーニングにおける疲労の回復には、
・エネルギーレベルの回復
・ホルモンレベルの回復
・筋繊維レベルの回復
・中枢神経系レベルの回復
この4段階があります。
ほとんどの人は、トレーニング後に食事を摂り(エネルギーレベルの回復)、高ぶった気持ちが落ち着き(ホルモンレベルの回復)、筋肉の疲労が取れる(筋繊維レベルの回復)のを感じたら、再びトレーニングを行います。
この時、「中枢神経系レベルの回復」まで、意識している人はほとんどいないのです。
それもそのはずで、中枢神経系がどの程度疲労しているかなど、人間にはなかなか体感出来ないからです。
中枢神経系の疲労は、4つの疲労のうちで最も回復させづらい疲労で、完全な回復に数日はかかると言われています。
この神経レベルの疲労が積み重なることで、オーバートレーニング症候群に陥ると考えられています。
疲労の4段階について詳しくはコチラの記事へ
>筋トレで起こる「4つの疲労」とは?休養と回復の目安
疲れが溜まったら思い切って休もう
筋トレにおいても、筋肉の疲労がとれた段階ですぐにトレーニングを始める人が多いですが、筋肉が回復しても、神経は完全に回復していない可能性が高いです。
特に、部位分割で鍛える部位を変えながら毎日トレーニングをしている方などは要注意。
ひとつの部位の”筋肉”に関しては中3日以上休ませているとしても、”神経”の方は連日酷使されているのです。
部位分割で、筋肉はしっかり休ませているはずなのに、全身の疲労感が抜けない…
こうした感覚はオーバートレーニングの初期症状であるため、一度トレーニングを休んで全身を回復させる期間を設けましょう。
疲れが溜まってきたな…と感じたら、思い切って1週間くらい休んでみるのも実は筋力アップには有効で、「1週間休んでみたら、すんなり1RMが上がった」という話も珍しくありません。
心配しなくても、1週間程度で筋力は落ちないのです。