筋トレはフルレンジにこだわる必要はない?稼動域を狭めるメリットとは?
筋肥大を目的としたトレーニングでは、対象筋を完全伸展から完全収縮までのフルレンジで刺激することが基本です。
フルレンジで行うこと
ストリクトで行うこと
この2つは筋トレの2大原則のように、どんなジャーナルでも目にしますよね。
確かに、筋肉を強く刺激するためにはフルレンジ、ストリクトは大切な原則ですが、場合によってはフルレンジにこだわる必要がない場合もあります。
今回は、筋トレの稼動域について考えてみましょう!
やっぱりフルレンジ・ストリクトが基本
こう書き出すと、まるで「フルレンジの筋トレは間違い!」と言っているかのようですが、そんな事はありません。
やっぱり、筋トレはフルレンジ・ストリクトが基本です。
私自身も、ほとんどの場合はフルレンジ・ストリクトを意識していますし、人にアドバイスするときもその2点を強調しています。
筋肥大トレーニングでは、筋肉を刺激することで発達のスイッチをオンにすることが目的です。
筋肉を刺激するためには、最大伸展から最大収縮までのフルレンジで行うほうが効果的なのは間違いありません。
ただ、何もかもをフルレンジにこだわる必要はないという事です。
フルレンジにこだわらなくてもいいケース
今までやったことのない新しい種目を取り入れようとする時、どうにもターゲットに効いている気がしないという事はよくあります。
こうした場合は、稼動域を狭めてみると効かせるコツを掴めることも多いのです。
例えばバタフライマシン。
バタフライではボトムポジションで大胸筋が強くストレッチされますが、最大伸展させるために胸を開けば開くほど、肩にばかり負荷がかかって大胸筋に効かせられないという人は珍しくありません。
バタフライマシンやダンベルフライをやっても、肩が痛いばかりで大胸筋に効かせられないという場合は、思い切ってボトムポジションをかなり手前に持ってきてみましょう。
大胸筋の負荷が抜けないポジションまで下ろすに留めることで、大胸筋に効かせるコツを掴めます。
これで効かせるコツを掴み、大胸筋が強く発達してくれば、いずれはフルレンジでもしっかり効かせられるようになるでしょう!
筋肉を最大伸展させるためには、関節の可動域の限界まで下ろす必要がありますが、そうすると痛みを感じるという人もいます。
こうした場合、痛みをガマンしてまで稼動域を広げる必要はありません。
例えばダンベルプレスなどでは、ボトムポジションでダンベルの重量に負けそうになった時、肩関節に無理な負荷がかかってローテーターカフなどを痛めてしまう事があります。
ベンチプレスでも、「シャフトが胸につくまで下ろす」が基本ですが、人によって胸まで下ろすと肩に痛みを感じるという方もいます。
そのまま続けていれば、ローテーターカフに負担が蓄積し、怪我につながるリスクもあります。
関節の柔軟性や骨格は人それぞれで、無理をしてまでフルレンジで行う必要はないのです。
1RM更新のため、または最大筋パワーを高めるための補強トレーニングとして、あえて稼動域を狭めるという方法もあります。
スクワット、ベンチプレスなどでは、「フルレンジで挙げたい目標の重量」を、ハーフレンジで行うことで「その重さに慣れる」というトレーニング方法が昔から行われています。
これは他の種目にも応用可能で、ハーフレンジであっても高重量を扱うことで身体全体に強い負荷をかけて、中枢神経系を強化するという点でも有効なトレーニングです。
稼動域を狭める場合はボトムポジションを省略する
トレーニングの稼動域とは対象筋の伸展(ボトムポジション)から収縮(トップポジション)までの間と言うことが出来ます。
この稼動域を狭めようと思った場合は、ボトムポジションの方を省略する事が基本です。
トップポジションの方を省略する事にはメリットが少なく、デメリットの方が多いでしょう。
対象筋から負荷が抜けるのも、関節に負担がかるのもボトムポジションの方が圧倒的に多いため、これを防ぐためにもボトムポジションの稼動域を狭くすることが有効。
逆にトップポジションでの最大収縮を省略してしまうと、最大収縮の感覚が得られずトレーニング効果が大幅に落ちます。
そもそも筋肉の最大収縮によって怪我をしたり効きが悪くなったりということはあまり無いので、トップポジションを省略する必要性自体がほとんど無いのです。
稼動域には個人差があることを理解しよう
トレーニングの有効な稼動域は人それぞれ異なります。
また、トレーニングの種類によっても、効かせる対象筋によっても異なるのです。
それぞれの効果的な稼動域について、統一された教科書は無いと思っていいでしょう。
人に言われたから、ネットに書いてあったからと言って、そのとおりにする必要はないのです。
重要なことは「今、どこに効かせたいのか」を常に意識し、どうすればそこに効かせられるかを自分であれこれ試してみることです。
それが出来るのはトレーニー自身だけなのです!
自分にとって最大の効果を得られるトレーニングを見つけることは、自分にしか出来ません。
もちろんフルレンジが最も良いならフルレンジで行うのが最高です。
しかし、「とにもかくにもフルレンジで」という考えは、場合によってはマイナスになることもあるのです。