筋トレに”追い込み”は不要!筋力アップには逆効果の場合も
もう1レップ!もう1セット!
筋肥大や筋力アップを目指す筋トレでは、とにかく限界まで”追い込む”事が良しとされています。
しかし、この”追い込み”って本当に必要なことなんでしょうか?
もしかしたら、目的によっては逆効果になることも?
今回は、筋トレにおける”追い込み”についてご紹介します!
疲労困憊は筋肉を萎縮させる
人間あらゆる機能は、適度に使うことで成長し、使わなければ萎縮していきます。
ただし、使いすぎた場合も萎縮することがあります。
これは「筋肉」の場合に特に顕著で、筋肉はトレーニングで適度に「使う」事で大きく成長していき、逆に使わなければすぐに衰えてしまいます。
このため、筋肉を大きく成長させるには筋トレが不可欠なわけですが、「使いすぎた場合も萎縮する」という事は忘れてはいけません。
筋肉を成長させるためには、あくまでも「適度」に使うことが重要であって、「使いすぎ」は逆効果になります。
ラグビーの試合後は筋肉が萎縮する?
ラグビーは、広いピッチを縦横無尽に走り回り、さらに激しいボディコンタクトが連続する非常にハードなスポーツです。
そのラグビー選手達の、試合後の身体を調べた研究では、筋肥大を阻害するストレスホルモンであるコルチゾールの濃度が、試合12時間後に56%、試合36時間後に59%の増加を示している。そして60時間後も34%増加したままであったった事がわかっています。
ラグビーの試合のように激しく筋肉を使いすぎた場合は、筋肥大を阻害するホルモンが60時間経っても出続けているということ。
これが筋肥大にプラスになるはずがありません。
逆に、筋肥大を促進する男性ホルモンであるテストステロンは、試合12時間後に26%低下し、36時間後は15%低下、60時間後も8%低下したまま。
実際にウェイトを用いた筋出力のテストでは、は36時間後も7%低下したままで、60時間後にやっと元のレベルに戻ったという事です。
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23539085
筋トレにおいて過度に”追い込む”事は、これと同じように筋肉の成長にマイナスになる可能性が大きいのです。
筋力アップに追い込みは不要
トレーニングの目的は様々あります。
競技のための補強なのか
カッコイイ体になりたいからなのか
持久力をつけたいからなのか
これらの目的に応じて、セットの組み方は変わっています。
参考までに、筋力アップ、筋肥大、筋持久力アップの目的に応じたトレーニング基準の一例をご紹介します。
筋力アップ
無駄な筋肥大を抑えて、筋力アップのみを図る場合
負荷強度 | 非常に高強度。最大筋力に近い負荷 |
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レップ数 | 3〜6レップ |
インターバル | 長く(3分〜5分) |
セット数 | 多い(5〜10セット) |
頻度 | 大筋群は週1〜2日、小筋群週2〜3日 |
筋肥大
筋肥大を主目的に、筋力アップも図る場合
負荷強度 | 中強度。最大筋力よりやや軽い負荷 |
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レップ数 | 8〜12レップ |
インターバル | 短く(1分程度) |
セット数 | 多い(3〜5セット) |
頻度 | 大筋群は週1〜2日、小筋群週2〜3日 |
筋持久力アップ
筋力増加や筋肥大よりも、筋持久力アップを図る場合
負荷強度 | 低強度 |
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レップ数 | 15〜50レップ |
インターバル | 短い(または競技に合わせる) |
セット数 | 少なく(2〜3セット) |
頻度 | 大筋群は週2〜3日、小筋群週3〜4日 |
このように、「瞬間的に強い力を発揮する」筋力アップを目指すような場合ほど、トレーニングの回数は少なくなります。
瞬間的に大きな力を発揮する力は、実際に大きな重量を持たなければ鍛えられないのです。
100kg×10回=1000kg
10kg×100回=1000kg
持ち上げた総重量は同じですが、10kg×100回が出来ても、100kg×10回が出来るようにはなりません。
逆もまた然りです。
つまり、瞬間的に大きな力を発揮する筋力アップを目指すなら、追い込みによって回数を増やすのは逆効果ということです。
追い込みトレーニングのメリットとは?
筋力アップのために追い込みが逆効果であるにも関わらず、なぜ追い込みトレーニングをする人がいるのでしょうか?
特に、この手法はボディビルダーに好まれています。
ボディビルダーが追い込みを好むわけは、「とにかく少しでも筋肥大させるため」です。
筋肉には、「瞬発力に優れ太く肥大しやすい速筋」と、「持久力に優れ肥大しにくい遅筋」の2種類があります。
筋肉を太くするためには、肥大しやすい速筋を鍛えるのが効率的。
つまり、高負荷低回数で行うのが基本で、追い込みのように高回数を行うのは逆効果になります。
しかし、既に速筋も発達しきって限界に近づいているようなボディビルダーにとっては、本来肥大しにくいはずの遅筋さえも肥大させる必要があるのです。
このため、高負荷低回数で速筋トレーニングを行った後に、遅筋トレーニングとしての”追い込み”を行うのです。
現に、日本トップクラスのボディビルダー達の筋繊維を調べた所、他のスポーツ選手などに比べて明らかに遅筋比率が高いことがわかっています。
遅筋比率が高いということは、「瞬間的に発揮できる力は弱い」ということですが、そんな事はボディビルダーには関係ありません。
ボディビルは筋肉の美しさを競う競技であり、その筋肉が発揮するパワーなどに用は無いからです。
ですから、ボディビルダーではない、特に他のスポーツの補強としてトレーニングを行っている場合、ビルダー的なトレーニングを真似するのは要注意です。
自分のトレーニングの目的をしっかり認識し、それに応じたトレーニングを行うようにしましょう!